御前崎B&Gでは焼津の八丁櫓船を借用して櫓漕ぎ体験会を開いているので、リーダー研修の番外編として御前崎に乗せてもらいに行った。
桟橋につくと船はあるが人がいない。今日からお盆でもあり、みんなは11日から連ちゃんで漕いでいるので16日までお休みにしたとのことだった。 でも御前崎B&Gの人が昼食を終え集まってくると、さすが海好き、船好きの人たち、早速「漕ぎ出そう」となった。 でもほとんどが素人衆の集まり。かく言う私も3日前に初めて漕がせてもらったド素人。 まずはもやったままで、櫓のこぎ方を練習する。 体重をかけて押し、手首を返して体重で引く。 しばらくやっていると慣れてはきたが、畳の上の水泳の練習みたいでわかったのかわからないのかわからないみたいなところ。 「まあ、いきますか?-」ということで8人が櫓につき、スーパーバイザーが船尾に立ち、もやい(右舷)を解き、突き棒で岸壁を押し離岸。 この間左舷のみスローでこぎ、岸壁との距離が取れたところで右舷の櫓をセットし、八丁櫓になったところで全員で漕ぎ出した。 いざ全員で漕ぎ出すと、櫓がピボット(船体側から出ている櫓をうける突起)から外れてしまうのが続出。 こいでいるのは2~3本。他の人ははずれた櫓の支点部分を抱えて突起の上に乗せようともがいている。 やっとこさ櫓をピボットに乗せて、さあ漕ごうと握りを持つがまた外れてしまったりする。 あれあれ、8人が両舷についているのに、前を向いてさまになって漕いでいるのは一人二人。 櫓が気になって後ろを向いて漕いでいる人、外れた櫓を戻そうと下をむいている人でアレアレという状態でした。 でも、10分もたっただろうか、下を向いている人が少なくなり、8本の櫓がだいたい動いているようになってきた。 額の汗が美しいぞ、青年! こんな感じかナ?っと勉強中。 腰が入っていていいぞ。でも足は反対の方が体が前向きになってもっと良い。 次に必要なのは方向転換。なんせ小さな港の中なので回らねばならない。 艫(とも)の櫓を持つ人が右舷は引きを強くし、左舷は押しを強くすることで、どっしりとした船体がゆっくりと転回を始める。 正面に迫る堤防をやっとの思いでかわすと、これが船の美学だとしびれてしまう。 写真は櫓の向かい角を大きくして押しているところ。 ピボットには左舷向きの力が加わり艫が左に行き、右旋回になる。 途中休憩をはさみ、港内を2周もこげば皆汗びっしょりになった。 私は途中からピボットに海水をかける役になったので疲れることはなかったが、8個のピボットを順にまわっていた。 ピボットは常に濡れた状態にしないとキシミだし、摩擦力が増えロスにもなるし、ピボットの磨耗を早める。 そんなこんなで2周して着岸して短期特訓レッスンを終了した。 汗びっしょりではあったが、疲れは感じぬほど楽しかったことが写真からお分かりいただけると思う。 このような企画を推進され、声をかけてくださった御前崎海洋クラブの皆さん、ありがとうございました。 またこのような船を作られた、焼津八丁櫓の方々にはその趣旨に敬意を表し、心からお礼申し上げる次第です。 ありがとうございました。 今回のせっかくの機会ですので、櫓漕ぎについて体験的に学んだところを力学をはさみ整理したいと思います。 ポイントは以下の4点です。 1) 直進するには手首の返しを均等に 2) 転舵させるときは艫の漕ぎ手が手首の返しを不均等に 3) 櫂が櫂座から離れないようにするには 4) 櫂が櫂座から離れたときは 以下、説明は左舷を例に記述します。 1) 直進するには手首の返しを均等に下図上段では櫂の取り付け状態を、中段では櫂を引いて漕ぐとき、下段では櫂を押して漕ぐときを示している。 <中段図>櫂に30度ぐらいのひねり(艫に向かって時計回り)を加え、引く。 これにより、水中の櫂に向かい角がついて矢印方向に動くので、揚力が発生する。 揚力は①櫂が沈もうとするする力、②横方向の抵抗、③推進力に分解して考えることができる。 ①については握りと船体をつなげている紐で打ち消される。 マクロでみれば、艫が若干沈むということになる。 ②については艫を右舷方向に押す力となうが、引いた次には、押して漕ぐ<下段図>ことになるので、艫を細かく左右に振る力として現れるだけである。 残る③の力が押し引きするごとに現れ、推進力となる。 2) 転舵させるときは艫の漕ぎ手が手首の返しを不均等に 右に転舵しようとするとき、櫂に迎い角をつけないようにして引き、押すときに大きな迎い角をつける。大きな迎い角により、推進力よりも横方向の抵抗を大きく発生することができる。 これにより、櫂の先端付近で左方向の力を受けることができる。 方向を決められるのは艫の漕ぎ手である。 おもての漕ぎ手は頑張っても船に対して横方向の力しか発生できないので、向きを変えるには至らない。それゆえ艫に立つ人はそれなりの技量が必要になる。 3) 櫂が櫂座から離れないようにするには 係船中での練習を終え、みんなで漕ぎ出したら櫂の外れること、外れること。 これは漕ぎ方が流れに流され、浮いてしまうことにあった。 すなわち漕いでいるどころか単にお荷物になっているという状態。 船が動いているときは、常に櫂に推進力を与えていなければならないことを理解した。 4) 櫂が櫂座から離れたときは 櫂を持ち上げて櫂座に納めようとしたが櫂とは重いものである。 それもそのはず、櫂座付近は櫂の重心付近なので全重量を持つことになる。 そこで、この方法を思いついた。 櫂をひねることで、流れと迎い角の関係で櫂が左右に動く。 櫂を手前にひねれば(図A)、櫂は手前に寄ってくる。 前後の調整ΔbはBを動かし、櫂の座穴が櫂座の上に来るようにする。 で、きたらサッと握りを下げ櫂座に納める。 納めたら3)の要領ですぐ漕ぎ出さなければならない。 ボーッとしていると櫂はまたはずれてしまう。 機会があったらチャレンジしてください。 楽しいです。
by bgkakegawa
| 2005-08-14 01:54
| リーダー研修
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